水の中に浮遊する小さな気泡に思わぬ可能性があることが分かり始めています。東北大学とダン・タクマ社が共同で進めているテーマは「半導体ウェーハの洗浄技術」ですが、その展開は非常に大きな広がりも見せつつあります。
小さな泡に大きな可能性をもたらしてくれる要因は「水」です。特に水と気体の「界面」です。ここは水が最も活性化した領域であり、水本体とは大きく異なった物性を持っています。マイクロバブルと呼ばれる小さな気泡は、水の中で縮小して消えてしまう特徴を持っており、これは気液界面の活性力が急激に凝縮している「反応場」でもあります。
ダン・タクマ社は「超純水」中に高濃度のマイクロバブルを発生させる技術を持っています。このマイクロバブルは消滅する瞬間に強力な「活性種」を生み出すことから、我々はこれを利用して薬液フリーのウェーハ洗浄技術を確立しています。最先端の半導体洗浄に向けて、実用化レベルまで技術を高めることができました。
また、ナノレベル(100nm以下)のパーティクルを発生させないマイクロバブル発生装置は、半導体以外の分野でも新しい可能性を広げつつあります。クリーン度の高いマイクロバブル発生装置は他に例が少なく、ナノサイズの気泡の研究や技術開発に欠かせないものです。これによって作り出された「ナノバブル」は気液界面の活性が極限の「点」として安定化したものであり、生体や植物などに触れたときに、細胞の活性化など様々な効果を発現すると考えています。
ダン・タクマ社と東北大学はマイクロ・ナノバブル技術を実用化させ、半導体を含めて、農・水産業や、環境、土木、医療・バイオなど広範囲な分野でお役立ていただける技術開発を目指しています。